【映画批評 過去記事から】
 いろいろ観た映画を短くコメントする企画、2010年9
月分(Part2)です。
 ツイッターで書き留めていたキーワードを下敷きに、加筆
修正してまとめています。エントリ記事では評価したい作品
以外は取り上げていませんが、ここでは基本的に観た映画す
べてにコメントしています。
 後日、個別エントリにブローアップするかもしれません。



■9/15『日本異端映画暗黒史 第一章』
『一寸法師』(55 内川清一郎)
『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(69 石井輝男)
異端映画 特集上映での2本立て。長い間念願だ
ったこのカルト作品を、やっと鑑賞。
 『恐怖奇形人間』は良い意味で東映映
画丸出しで、映画としては無茶苦茶なの
だが、土方巽の圧倒的迫力、怨嗟と狂気
と悲哀が渦巻く異様な展開、突然の明智
探偵の推理劇に惹き付けられる。そして
衝撃の破壊的ラスト、まさに奇怪にして
哀愁漂う幻想美。(札幌 蠍座)

恐怖奇形人間 『一寸法師』は宇津井健が探偵かと
思いきや、さにあらず。でも意外と真
っ当な推理ミステリーとして展開。
 一寸法師と警官隊との逃走追跡劇の
ダイナミズムも面白い。ラスト、一寸
法師の目に浮かぶ涙の美しさが予想外
の感動を呼ぶ。(札幌 蠍座)


■9/17『東京ゾンビ』(05 佐藤佐吉)
東京ゾンビ 多分、この脱力的でとぼけたタッチや
オフビートな感覚が面白いとされている
のだろうことは判らなくもないが、しか
しながら、どうしても「なんとなく撮っ
た画を何となくつないだ」風にしか思え
ず、最後まで退屈な作品に終わってしま
った。 (天動説)



■9/18『海猿』(04 羽住英一郎)
海猿 海上保安庁・機動救難隊員を目指して
奮闘する若者たちを描く。ハリウッド映
画など、先行する同系統の作品が多々あ
る中で、ストレートに展開するドラマは
いかんせん起伏に乏しく平板な印象で、
そこを越えていく「何か」に欠けている。
 全体的に「なんとなく」感が漂うのが
非常に残念…。(天動説)



■9/19『天使の恋』、9/26『~・運命編』(04 寒竹ゆり)
天使の恋 ストーリー的には『恋空』と同じパタ
ーンで、やや「なんとなく」感が漂うも
のの、映画的にはまったく様相が異なっ
ていて、ハッとする良いショットも多く
佐々木希のぶっきらぼうな演技がフレー
ムの中に放り込まれる時、そこで起こる
映像的な化学反応が映画的な輝きとなっ
てすこぶる魅力的。地上波放送用に前後
篇に編集されているので断片的にしか観
てない…という問題はあるけれど、おそ
らく全編通して観てもその評価は大きく変わらないと思う。(天動説)




■9/20『小さき勇者たち ガメラ』(06 田崎竜太)
小さき勇者たちガメラ 小さな地方の港町を舞台に描かれる少
年とガメラの交流。前シリーズが意図的
に切り捨ててきた「ファンタジー/ジュ
ブナイルとしての怪獣映画」に挑んだ物
語は、等身大の子供たちの日常、親子の
葛藤、普通の人々の暮らしを丹念に描い
ていて見応えがあり、子供たちの「意思
の力」が、ガメラに新たなエネルギーを
与えるという作劇が一層感動的に際立つ。

 敵怪獣ジーダスがまったく予備知識も説明もないまま、日
常世界に突如登場する(怪獣=天災という図式を再解釈、市
井の人々の視点から描く)インパクトは凄いし、画面縦方向
に展開する斬新なアクション、特撮シーンを全ショット、白
昼に設定して展開するパノラミックな画面は、怪獣バトルを
クリアかつダイナミックに描きだす。
 嫌みなのない主人公、隣家に住む気丈な少女、それぞれの
父親、そして小さなケヅメリクガメ。それぞれが相互にしっ
かりつながり合う本作は、怪獣映画というジャンルを越えて
まさしく「愛と勇気の冒険物語」である。(天動説)



■9/20『50回目のファーストキス』(04ピーター・シーガル)
 記憶が一日しか持たない女性に恋した
男の奮闘を描く、いたってクラシカルで
正統的なアメリカン・ラブストーリー。
 繰り返される同じ日常を、あの手この
手で楽しませ、あるいは楽しもうとする
努力は、実はそのまま我々の日常生活に
も当てはまる教訓なのではないか。「物
語」としての特権を行使して、状況を突
破していく主人公たちのバイタリティは
きわめて「映画」的で、新奇なものにば
かり目を奪われる現代社会の愚かさを皮肉られたようで、なん
だか悔しい。(天動説)




■9/24『The焼肉ムービー プルコギ』(07 グ・スーヨン)
プルコギ 松田龍平、山田優、田村高廣、ARATA
他、俳優陣は豪華だが、映画はサッパリ
面白くない。今更、テレビ番組で料理対
決というストーリーもどうかと思うし、
作品全体が平板で「なんとなく」シーン
が連なっていくばかりで、映像にもドラ
マにもリズムが感じられない。なにより
「焼肉」というモチーフが何ら映画的に
活かされていないし、食欲を刺激するこ
ともないのが致命的。山田優のキャラク
ターが時折、映画的な匂いを醸し出すが、人物関係の不明瞭さ
に埋もれてしまっている。(天動説)




■9/26『ROOKIES-卒業-』(07 平川雄一朗)
ルーキーズ 劇場へ行った人は、TVドラマの延長
線上の『ROOKIES』という「物語」を
求めていたわけで、必ずしも「映画」を
求めていた訳ではない。本作はまさにそ
の意図のもとに作られている。それ故に
前半部分はTVドラマ手法そのままに撮
られていて、映画のフレームの中で観る
と終始ダイジェスト的で大雑把な印象が
拭えない。
 しかしストーリーの肝である甲子園に
舞台を移してから、とりわけ五十嵐隼士が変な格好でバットを
当てた辺りから、画面は漫画的な活力を帯びて、俄然面白くな
に近づけていく。「この瞬間」だけにすべてを賭けるチームの
吹きこぼれるような熱さが、ドラマと映画自体を「その瞬間」
だけ熱いものに変えるのである。
 過熱する試合(ドラマ)を冷静に分析する渡部篤郎の存在が
ラジエーターとして映画の「熱暴走」を抑えているのがすこぶ
る愉快だ。(天動説)



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