【映画批評 過去記事から】
 いろいろ観た映画を短くコメントする企画、2010年9
月分(Part1)です。
 ツイッターで書き留めていたキーワードを下敷きに、加筆
修正してまとめています。エントリ記事では評価したい作品
以外は取り上げていませんが、ここでは基本的に観た映画す
べてにコメントしています。
 後日、個別エントリにブローアップするかもしれません。


■8/31『天国と地獄』(63 黒澤明)天国と地獄
 誘拐犯と被害者、事件を追う捜査員た
ちが織りなすドラマ。日本を舞台にしな
がらも、情緒的で日本的な空気感のない
徹底的に乾いたタッチ。こういう作劇を
晩年まで貫いてくれていたら、黒澤明ア
レルギーにもならなかったのになぁ…と
残念に思う。個人的には『パトレイバー
2』や『踊る大捜査線』などへの影響が
判って興味深かった。(天動説)



■8/31『ALWAYS 三丁目の夕日』(05 山崎貴)
ALWAYS 東京タワー建造中の昭和の時代を舞台
に、普通の人々の日常の喜怒哀楽を優し
く見つめる作品。
 監督の作品には『時空間』(時間の流
れる空間/空間に流れる時間)というモ
チーフが一貫して描かれていて、前2作
(『ジュブナイル』『リターナー』)で
は「未来からの来訪者」との交流が主軸
になっていたが、今作では映画のカメラ
(つまり観客そのもの)が来訪者となる
逆転の作劇が成されている。言わば、タイムスリップを「映画
体験」として表現してみせたということであり、その「別世界
への訪問」感覚が、この作品の面白さの真髄でもある。
 その意味で本作は一種のSF映画と言えるかもしれない。(天動説)




■9/1デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(00 細田守)
デジモンアドベンチャー 『ポケモン』の二番煎じのイメージが
強かったせいで一度も観た事がなかった
が、存外アクチュアルな作りで、大ウソ
を突き通すための小さなウソの丹念な積
み重ねが効果的。
 現実と仮想現実とを並列な世界として
許容できる「自由な精神」が世界を救う
物語。デジモンが進化するように、本品
のテーマはより緻密に練り込まれて『サ
マーウォーズ』へと進化する。(天動説)




■9/1
『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』(05 細田守)
ワンピース 原作も未読ならテレビアニメも未観、
元の基本設定をまるで知らないのにも関
わらず、変幻自在の映像の面白さと、一
気呵成に突き進む躍動的なドラマで、丸
ごと楽しめてしまう。アニメーションな
らではの表現の優位性が十全に発揮され
た本作は紛うことなき「映画」である。
 アニメーションは「漫画」ではなく、
「映画」なのだという事を再確認。(天動説)




■9/1『告白』(10 中島哲也)
告白 想像を越えるドラマと予想を裏切る展
開の面白さ。冒頭の教室シーンからいき
なり本題に入っていく展開には、観てい
るコチラ側も生徒と一緒に教師・森口の
話を聴いている気分になり、するすると
物語に引き込まれてしまう。
 犯人探しのミステリーと心理サスペン
スをミキシングした作劇は、超現実的な
映像表現をプラスして終始トリッキーで
面白いし、編集のリズムも素晴らしかっ
たと思う。
 森口が「教師」という姿勢を崩さずに、短絡的なただの復讐殺
人犯に堕する事なく、如何にこの不条理な「世界」に切り込んで
いったのか。この「命」を巡る究極のドラマは、戦慄的であるが
故により重く胸の奥に刻まれる。
 ピリピリと緊張する空気の中で崩壊していく母親を圧倒的に演
じる木村佳乃にも注目したい。(天動説)




■9/1『ボーン・アイデンティティー』(02 ダグ・リーマン)
ボーン・アイデンティティー 予想外に地味な印象だったが…シリー
ズを続けてみる時に改めて再観してみた
い。(天動説)




■9/4『キャプテントキオ』(07 渡辺一志)
キャプテントキオ コメディなのかシリアスなのか、ポイ
ントが定まっていなくて消化不良だし、
全体的に作りがぞんざい過ぎる。せめて
主人公(ウエンツ瑛士、中尾明慶)の二
人のドラマがエネルギッシュにハジケて
いれば良かったのだが、些か大人しすぎ
る。いしだ壱成や渋川清彦が出ているの
にあまり活かされていないのも勿体ない
限り。(天動説)



■9/8『それでも妻は登った』(03 吉野和彦)
画像準備中… ビデオ撮影による自主製作の短編映画
である。そしてこのタイトルが作品のす
べてを言い表している。
 趣味で山を登る妻の姿と山の風景をひ
たすら撮り続ける夫。…妻は山を登る。
「私」も登る。ビデオカメラも登る。ひ
たすら登る。そしてその繰り返しが異様
な迫力を帯びてきた瞬間、映画はドラマ
チックな未知の領域へと突き抜ける。そ
れまで観ていた映画が目の前でぐるりと
感動的に変貌するというスペクタクル。
「映画は体験である」とするなら、この作品を観る事はまさに得
難い体験である。(天動説)




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 邦画が中心の映画批評人。
物語そのものより、映画にお
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