【映画批評 過去記事から】
 いろいろ観た映画を短くコメントする企画、2010年
8月分です。
 観た時の「熱」が冷めないうちに、まず「形」にする、と
いうことで、最近はツイッターにコメントを書くようにして
いるので、その短文に加筆修正してまとめています。後日、
個別エントリにブローアップするかもしれません。


■8/3『LOFT』(06 黒沢清)
LOFT 黒澤監督のホラー映画(と、あえてカ
テゴライズするならば)は最強にコワイ。
 「ミイラ」を巡る因果応報のドラマに
翻弄される中谷美紀さんの画面に映える
演技力のスゴさ。恐怖に振り切れるギリ
ギリの不安感が神経をじわじわと擦り減
らす。ラストの衝撃には心底戦慄。(天動説)


■8/7『劔岳 点の記』(09 木村大作)
剣岳 点の記 本物の自然の迫力を撮れても、それ
をただつないだだけでは映画にはなら
ないのではないか…と思う。山岳ドキ
ュメントではなく、これは劇映画なの
だから。(天動説)



■8/8『サマーウォーズ』(09 細田守)サマーウォーズ
 以前TV(再編集)版は観ていたが、
今回DVDでオリジナル版を鑑賞。かな
り思い切った編集していたことに感服。
 オリジナル版では家族の何気ない描写
やちょっとしたニュアンスがより明確に
判る。作画本当によく描けているし、一
致団結して事態収拾にあたる家族、その
ドラマのダイナミックな面白さ、映像的
リズムの痛快さはやはり秀逸。(天動説)




■8/9『青春の殺人者』
青春の殺人者■1976年/アメリカンビスタ/132分
(再公開時短縮版115分 DVD収録復元版120分)
制作:今村プロ=綜映社=ATG
監督:長谷川和彦
脚本:田村孟 原作:中上健次
撮影:鈴木達夫
照明:伴野功
編集:山地早智子
音楽:ゴダイゴ
出演:水谷豊、原田美枝子、内田良平
   市原悦子、白川和子、江藤潤
   桃井かおり、地井武男


 二十二歳になる斉木順は、親から与えられたスナックを経
営して三カ月になる。ある雨の日、彼は父親に取られた車を
取り戻すため、実家に向った。しかし、店の手伝いをしてい
る幼なじみのケイ子との関係を火種として両親と揉めた順は、
二人を刺殺してしまう…
 閉塞感、親殺し、衝動殺人…というモチーフを取り込みな
がら、陰惨なイメージがまるでなく、いっそ痛快で爽快です
らある。現実をフレームで切り取った虚構の中に再構成され
たドラマが、その虚構を突き抜けて観る側の胸をまっすぐに
打つ。時代を超えた名作。(天動説)


■8/11『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(05 ベニー・チャン)
香港国際警察 映画はアクションである。例えば、
人物が「動かない」ということも「動
かない」ということが映像で表現され
ていれば、それは「動かない」という
意味でのアクションなのだ。格闘とい
う要素とドラマが不可分に結びついた
本作には「アクション映画」というカ
テゴライズはもはや無意味である。
(天動説)




■8/13『シュアリーサムディ』(10 小栗旬)
シュアリー・サムディ 監督・小栗旬の力作。エネルギッシュ
で、痛快でちょっとほろ苦い青春活劇。
 予想以上にハードでシリアスな所も多
くて吃驚すると同時に、全編に立ちこめ
る映画の匂いが嬉しい。脚本も面白かっ
たし、俳優陣の力演がキャラクターの熱
量となってギッシリ詰まっているところ
など、絶賛です。…唯一、エンドロール
後のシーンは蛇足だったかな…(天動説)




■8/14『天然コケッコー』(07 山下敦弘)
天然コケッコー 小中学生合わせてもたったの6人し
かいない田舎町の分校に、東京からや
ってきた転校生。中学2年生のそよの
心はときめく。小さな田舎町の普通の
人々が織りなす結晶の様にきらめく、
ごくごく小さな物語をあたたかく見つ
める。パラパラとめくるアルバムのよ
うな作品のテンポが心地よい。ラスト
のゆっくり移動するカメラワークに象
徴されるように、個々のエピソードを
印象的に積み重ねて描く手法が、作品全体の面白さに直につ
ながっている。主演の夏帆の伸びやかな演技が魅力的。(天動説)



■8/15『時をかける少女』(05 細田守)
時をかける少女(2006) ごく自然な演技を表現できる作画力
と、それを統括する演出力が生み出す
描写(ドラマ)は、アニメーションな
らでは表現力の豊かさと深さを得て、
映画としての力に満ちている。「時間
跳躍」という「大いなる能力」を手に
したとき人はどうするのかというSF
テーマを、誰かを強く想うとき人はど
うするのか、というドラマと鮮やかに
重ねてみせたストーリーは秀逸。仲里
依紗の声の演技もずば抜けている。(天動説)



■8/18『プロジェクトBB』(06 ベニー・チャン)
プロジェクトBB ジャッキー、マイケル、ユン・ピョ
ウの夢の共演…といいつつ、実質は期
待したようなアクティブな内容とは違
って、やや古いタイプの香港映画的ハ
ートウォームな物語。いわゆるちょっ
とした佳作という印象で、もっとコメ
ディとして弾けてほしかった。同様に
広川太一郎の吹き替えも往年のキレが
なくて物足りなかった。こう言う時こ
そハチャメチャに演じてほしかったの
だけど…(天動説)



■8/16『恋空』(07 今井夏木)
恋空 なんとなく撮って、なんとなくフィ
ルムをつないだだけでは映画にはなら
ないわけで…(天動説)



■7/28『いちげんさん』(99 森本功)
いちげんさん 京都を舞台に留学生(エドワード・
アタートン)と視覚障害のある女性
(鈴木保奈美)との恋愛物語…ですが
描写のための描写が続くだけで、画面
の中にドラマは何ら結実しないまま、
なんとなく終わってしまう感じ…
(天動説) 



■8/21『サマータイムマシン・ブルース』(05 本広克行)
サマータイムマシン・ブルース 日本映画では珍しいタイムマシンも
のの好編。壊れたエアコンのリモコン
を手に入れる、というためだけに時間
を飛び越えるSF研の学生たちが、タ
イムパラドックスを防ぐために時間軸
を駆け巡るコメディ。登場人物たちの
テンポの速い言動と、メリハリのある
凝った脚本と演出の面白さで、次第に
劇中に引き込まれていく。
「時間移動」というモチーフが「夏」
「青春」という限定的な時空間の形と渾然一体となってすこ
ぶる魅惑的。(天動説)



■8/13『20世紀少年 第1章 終わりの始まり』(08 堤幸彦)
■8/20『20世紀少年 第2章 最後の希望』  (09 堤幸彦)
■8/27『20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』  (09 堤幸彦)
20世紀少年120世紀少年220世紀少年3
 3部作の地上波連続放送を鑑賞。…パラレルワールド的な
世界観や、SFクロニクル的な展開など、大仕掛けで繰り出
される大ウソが楽しい作品。
 劇場オリジナルとの差異が不明なこともあり、近々まとめ
て観直す予定です。(天動説)


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