【映画批評 過去記事から】
ハイキックガール■2009年/ヴィスタサイズ/カラー/81分
■制作プロダクション:デジタルハリウッド・エンタテインメント
企画・原作・監督:西冬彦
脚本:西冬彦、木村好克
撮影:松井信行
照明:佐藤 茂
編集:河原弘志
音楽:見里朝生
出演:武田梨奈、中達也、高橋龍輝、天野暁兒 
   須藤雅宏、八木明人、蒲生麻由、小林由佳
   井村空美、渡辺久江、秋元才加、神尾佑


 空手道場へ通う高校生・土屋圭は、天性の運動神経でどん
な技でも軽々とこなすが、師匠の松村は圭の強さを認めず、
地味な型げいこばかりを課していた。そんなある日、師匠に
認めてもらえない不満から、町の空手家たちを相手に「黒帯
狩り」を始めるが、やがてその噂を聞きつけた「壊し屋」と
名乗る集団からスカウトをを受けるが…

 空手が大好きで、もっと強くなりたいと願う女の子の成長
を、寸止めなしのリアルファイトで描く空手アクションムー
ビー。
 この作品全体を貫くキーワードは「一撃必殺」です。

 まず、アクションにおける「一撃必殺」。
 これは言うまでもなく、セールスポイントにもなっている、
実際に蹴りや突きを相手に当てるというアクションスタイル。
スローでの反復ショットでも判るように、打撃が正真正銘本
当に相手にヒットしていて、生身の身体から繰り出す技の数
々は圧倒的。本物ならではのスピードで、時にあっけないく
らいの速さで勝敗がついてしまうので、一時も目が離せない
し、観ているこちらの脳もグラグラ揺れそうな迫力です。
 それでいて、写実的なリアリズムにのみ傾斜するのではな
く、映画表現としての誇張されたアクションの面白さ・有効
性もしっかり取入れていて、その相乗効果が活劇場面を何倍
にも面白くしています。

 次に、映画スタイルにおける「一撃必殺」。
 メインテーマである「空手」を主軸として、集中的にスト
ーリーを描き込むことで、映画そのものが「武道」の精神を
そのまま体現するドラマになっていて、そのストレートな作
品構成は清々しいものがあります。主人公のプライベートな
日常描写にまで踏み込まず、アクションを中心にドラマを描
く手法に徹したのが功を奏したと言えそうです。
 また、格闘以外のシーンでも、例えば冒頭の壊し屋の襲撃
や神社での圭の黒帯狩りシークエンスなど、映画の作りがし
っかりしているので、全体的に観て画面(ひいては映画全体)
に安っぽさがないのが良いです。

 率直な印象としては、外見的作品イメージが「美少女空手
アクション」を謳っている反面、ドラマの展開上、クライマ
ックスにおいて目立った活躍がない(主人公の先生の活躍が
際立ってしまっている)点は惜しいと思います。やはり作品
的に盛り上がる要素としては、オーソドックスな展開(本作
のドラマ構成上、あえて避けたのであろう部分)ではあった
としても、圭と壊し屋たちとの戦いはもっと盛り込んでほし
かったところです。
 とはいえ、全体を総合的に観た場合には、空手を学ぶ少女
の成長ドラマとして、シンプルにスッキリまとまっているし、
全編緊迫感が途切れないので、最後までとにかく楽しめる、
直球勝負の活劇ムービーといって間違いありません。

 そして、主役を演じた武田梨奈さんが見せる「看板に偽り
なし」のシャープで鮮やかな蹴り、キレのあるアクション、
キリッとした眼差しやフレームの中でブレない存在感などが
とても魅力的。役の設定上、睨んだり怒ったりの強面の表情
が多いですが、ちょっとしたショットに見える微妙な感情表
現もとてもいいと思うし、初主演ながら堂々とした演技で好
感が持てます。
 特に、ラストの武田さんの絶品のスマイルは映画全体を締
めくくるにふさわしい、まさに「必殺の一撃」でした。

(2009/9/22 天動説:映画批評)



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