【映画批評 過去記事から】
ザ・バンク■原題:The International
■2009年/アメリカ/スコープサイズ/1時間57分
監督:トム・ティクヴァ
脚本:エリック・ウォーレン・シンガー
撮影:フランク・グリーベ
編集:マティルド・ボヌフォア
音楽:トム・ティクヴァ
   ジョニー・クリメック&ラインホルト・ハイル
出演:クライヴ・オーウェン、ナオミ・ワッツ
   アーミン・ミューラー=スタール
   ウルリッヒ・トムセン
   ブライアン・F・オバーン


 ドイツ・ベルリン。国際メガバンクIBBCの違法行為を捜査
するインターポール捜査官のルイとニューヨーク検事局のエ
レノア。しかし、内部告発をしようとした銀行幹部の不審な
事故死、ドイツ国内での捜査禁止通告にはじまり、銀行に不
利益な証人、疑われる証拠にことごとく手が回り、消去され
ていく。不正の確証を掴むべく、ミラノ、ニューヨーク、さ
らにはイスタンブールへと捜査を続けるルイが、最後に辿り
着いた結末は─。
 『フレンチコネクション』のように、全編犯罪捜査におけ
る攻防戦を描いたサスペンス・アクション。

 世界経済の裏側に潜む闇、それを暴こうとするものは、静
かに葬られていく…。政府・諜報機関・軍事産業・犯罪組織
さえも巻き込んだ、複雑で狡猾なシステムに立ち向かう時、
登場人物たちはそれぞれの「選択」を迫られる。

…本作はポリティカル・フィクション的なタッチで、映画前
半のサスペンス・ドラマはすごく面白いが、後半やや短絡的
なアクションに流れてしまい、それまでの緊迫感やムードが
薄まった感が否めない。
 単なる善悪二元論に寄らない多面的な人物描写など、リア
リティのある演出が意識されているものの、それを重視する
あまり、映画自体のパワーを削いでしまっている面もあり、
とりわけアクションシークエンスにそれが顕著。細部がリア
ルな反面、状況そのものの描写は丸ごと投げ出されたままに
終わってしまい、美術館での銃撃戦など画面が派手な割にカ
タルシスがなく、シーンごと空回りしてしまっているように
思える。
 「起こった事柄をそのまま撮ること(リアル)=映画描写
(リアリティ)」ではないのであって、シーンをよりよく観
せるための「演出」は不可欠なのではないか…。
 編集もあまり良くなく、特に会話シーンでの単調な切り返
しの連続や、つなぎの間の悪さがかなり気になるところで、
無駄なショットも多く、どうしても散漫な印象が残ってしま
った。

 主人公は捜査を完遂させるために、自分の置かれたシステ
ム(組織やルール)からはみ出し続け、彼が追っていた暗殺
者、銀行頭取の側近だった男もまた、自らのルール(契約や
掟)を逸脱していく。
 システムから外れるものに「死」(実質的な死だけではな
く、職業や存在価値、人格的な死も含む)が与えられるとい
うこの「物語のルール」は、ラストで主人公をギリギリまで
追いつめる。果たして彼は最後の境界線を踏み越えるのか否
か?

(天動説 2009/9/16 特別試写会にて)


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