【映画批評 過去記事から】
アマルフィ女神の報酬■2009年/シネマスコープサイズ/125分
■制作プロダクション:シネバザール
監督:西谷 弘
脚本:※ノンクレジット(西谷 弘、真保裕一)
原作:真保裕一
撮影:山本英夫
編集:山本正明
音楽:菅野祐悟
出演:織田裕二、天海祐希、佐藤浩市、戸田恵梨香 
   佐野史郎、平田満、大塚寧々、伊藤淳史
   中井貴一(声の出演)、福山雅治(特別出演)



 クリスマス目前のローマ。特命を帯びてこの地に赴任して
きた外交官・黒田は、人の日本人少女失踪事件に遭遇する。
 警察を撹乱する犯人に対して一向に進展しない捜査。様々
な想いが交錯する中、全ての鍵はイタリア南西に位置する美
しい港町・アマルフィに。事件を追う黒田はやがてさらに大
きな事件の謎に行着くことに…

 全編イタリアを舞台に展開するサスペンス・エンターテイ
メント。観光ガイド的な映像に堕することなく、街の空気感
や存在感を潤沢に駆使した映像は素晴らしく、シネマスコー
プサイズの画面に映えて効果的。物語の舞台としても申し分
ない。

 映画は出だしから余計な贅肉のないシャープな展開で、キ
ャラクターをじっくり捉えた画面には、ワンショットも無駄
に流さない緊張感が好感触。時系列を入れ替えたシーン構成
や、細かい描写のアクセントが布石になって、あとからどん
どん効いてくるなど、練り込まれた脚本と演出でドラマが停
滞することなくどんどん転がっていく。そのスピード感で2
時間があっという間に駆け抜ける感がある。
 個人的には編集がとても大胆で驚かされた。テンポよく軽
快な部分もあるかと思えば、意表をついてバッサリ切ってい
るところもあり、その自由自在な編集は興味深かったです。

 クライマックスの見せ場もあまりウェット過ぎず、しかも
作品のカラーを損ねることなく、きっちりまとめてみせて、
観終わった後の余韻も清々しい。

 キャストでは、主演の織田裕二が久々にクールな役柄を好
演。『踊る大捜査線』のイメージを払拭し、終始押さえた演
技で、外交官というプロの余裕とアウトローの凄みを感じさ
せる。
 対する天海祐希もいつものサバサバしたキャラクターを封
印し、母として、または女性としての微妙な感情表現を的確
に演じ込んで印象的。作品中もっとも感情の揺れ幅の大きな
役どころだが、作品全体のリアリティを見事に支えている。
 その他にも、状況に振り回されてバタバタと駆け回る戸田
恵梨香、揺るぎない存在感で映画のポイントをぐっと締める
佐藤浩市さん、そして友情出演の福山雅治、と共演陣もそれ
ぞれ素晴らしい。

 それにしても「外交官」という設定は、『007』などの
スパイ映画を彷彿とさせる面白いアイデアで、拳銃に馴染み
の薄い日本映画では、アクションものひとつとってもリアリ
ティのバランスが難しいですが、この設定なら日本流のエン
ターテイメント活劇として成立させる可能性が期待できそう
である。今後、如何様にでもシリーズ化できそうなので、ぜ
ひ第2弾を期待したいところである。          

(天動説:映画批評)


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