【映画批評 過去記事から】
ヒート■原題:Heat
■1995年/アメリカ/シネマスコープ/171分
監督・脚本:マイケル・マン
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:ドヴ・ホウニグ、パスクァーレ・ブバ
   ウィリアム・C・ゴールデンバーグ、トム・ロルフ
音楽:エリオット・ゴールデンサール
出演:アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ
   ヴァル・キルマー、ジョン・ヴォイト
   トム・サイズモア、ダイアン・ヴェノーラ
   エイミー・ブレネマン


 プロの犯罪者であるニール率いるチームは、現金輸送車か
ら多額の無記名証券を奪取するが、新参者の起こしたトラブ
ルや取引相手の裏切りで厄介な状況に追い込まれる。
 一方、事件をききつけた警部のヴィンセントは、わずかな
手がかりからチームのメンバーを割り出すことに成功、執拗
な追跡を開始する。捜査の過程で二人は、やがて対極に位置
する存在でありながら、お互いの存在に不思議な共感をおぼ
えるが…
 
 派手な仕掛けやファッショナブルな要素がないと成立しに
くい現在の映画状況下でも、探してみれば70年代の「映画の
醍醐味」を確実に受け継いだ作品はゼロではない。今作はそ
んな作品の一本、スリル&サスペンスあふれる男のハードボ
イルド活劇。
 敵味方に分かれた二人が立場を越えて共感を覚えるも、結
局は対決は避けられず…というストーリーラインはとりわけ
珍しくないものの、ワーカホリックで結婚生活も破綻寸前の
刑事、惚れた女のために足を洗って平穏に暮らそうと考えは
じめた犯罪のプロ…といった、裏と表で全く違う悩みと葛藤
を登場人物に与えることで、単純なギャング映画とは一線を
画すものとなった。刑事役にアル・パチーノ、ギャング役に
デ・ニーロ、というなかなかに挑戦的な配役も絶妙。全編同
じフレームに収まったシーンがほとんどないにも関わらず、
ラスト・シークエンスに象徴されるように徹底して男っぽい
ドラマが成立していて哀感もたっぷり。
(…しかしながら、ちょっと私的な部分を描き込み過ぎの感
もあり、些か作品全体のバランスを崩しているようにも思え
る。思いのほか定型的だったデ・ニーロの恋愛過程など、も
うひとひねり欲しかったと言えるかもしれない)
 もしあなたが男性なら「あーわかるわかる」と感じだろう
し、女性なら「あぁ、なんて男ってバカなんだろう」と思っ
て観ることになるだろうと思う。
 一方、本線の活劇シークェンスでは、追う側・追われる側
で丁々発止に繰り広げられる熾烈な頭脳戦の面白さ、白昼の
街中で行われる大迫力のガンファイトシーンの凄まじさは必
見中の必見で、文句なしの面白さ。3時間近い作品ではある
が、時間的に余裕のある時に、ぜひじっくり御覧いただきた
い作品である。           (天動説:映画批評)


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