【映画批評 過去記事から】
龍が如く劇場版■2007年/ヴィスタサイズ/110分
監督:三池崇史
脚本:十川誠志
撮影:山本英夫
照明:小野晃  美術:稲垣尚夫
編集:島村泰司
音楽:遠藤浩二 歌:クレイジーケンバンド
出演:北村一輝、岸谷五郎、夏緒、荒川良々
   コン・ユ、加藤晴彦、塩谷瞬、サエコ
   哀川翔、松重豊、高岡早紀、田口トモロヲ
   真木蔵人、塩見三省、遠藤憲一


 欲望と暴力が渦巻く眠らない街、神室町にかつて「堂島の
龍」と呼ばれた伝説の極道・桐生一馬が刑期を終えて10年
ぶりに戻って来た。それを機に、まるで止まっていた歯車が
動き出したかのように街が危険な匂いとともに動き始める…。

 思わず唸ってしまうような面白い活劇がなかなか出てこな
い邦画の中で、久々に痛快で面白かった一本。
 ゲームの映画化ということですが、物語の基本設定はさて
おき、各シーンの画面構成・ストーリー展開に、かなり「ゲ
ーム的」な感覚が多用されていて、なかなか面白いです。ど
ちらかと言えば「ゲーム感覚」そのものの映画化といった方
がいいかもしれません。
 また、架空の街・神室町の構築にあたっては、ロケーショ
ン撮影もさることながら、作り込んだセットでの撮影が効果
的に活きていて味がある上に、映画の匂いが濃厚に立ちこめ
ているのもうれしいところ。日活アクションや70年代東映
活劇を彷彿とさせます。
 
 主人公・一馬をメインに、神室町を舞台に複数のドラマが
少しずつ重なりながら展開する構成は、キャラクター描写も
物語も細かい部分はバッサリ刈り込み、ひたすら状況をあり
のまま提示するだけ、という思い切った作り方で、なかなか
のハードボイルド・タッチ。この点には賛否両論ありそうで
すが、現実にはすべての状況やドラマを把握・理解するなん
てことは出来ない訳だから、これはある種ドキュメンタリ的
な表現手法といっていいし、その意味でのリアリティがとて
も面白かった。熱帯夜の神室町の一夜の物語を、この街を彷
徨い、登場人物たちとすれ違うような気分で「体感的」に観
るのが本作の正しい観方なのではないかと思います。

 主演の北村一輝はシャープなアクションを披露しつつ、そ
の男っぷりの良さはヤクザという設定を軽く飛び越えて、ヒ
ーローそのもの。一方、彼を執拗に狙う兄貴分を演じる岸谷
五朗のクレイジーでユニークなキャラクターは、まさに主役
を喰う勢いで、セリフの間やアクションのタメがとにかく絶
妙。
 
 『トゥルーロマンス』風の若いカップルの一人を演じたサ
エコの表情豊かに活き活きと動くさまもとても魅力的だし、
情報屋を怪しく演じる荒川良々の存在感も特筆すべき点。
 松重豊、哀川翔、遠藤憲一のコントすれすれのサブストー
リーや、スナイパー役コン・ユのシーンでの直球のシリアス
さ、わずかな出番ながら、大いに場をさらう高岡早紀、真木
蔵人 塩見三省の存在感も見所。

 暴投スレスレの豪速球をむりやり叩いてヒットを飛ばすよ
うな理屈抜きのシーンの連打の末に、「グランドホテル」式
にすべてをつなげて、ある種の感動を生んでしまうラストシ
ーン。このやんちゃさ加減に、やっぱり映画はこうでなくて
は、と思ってしまいます。
 真夏の暑さも吹っ飛ばす痛快な娯楽活劇、スカッとしたい
向きにはおススメの一本です。 
           
(天動説:映画批評)


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