【映画批評 過去記事から】
(ハル)■1996年/ヴィスタサイズ/118分  
■製作:光和インターナショナル
監督・脚本:森田芳光
撮影:高瀬比呂志
編集:田中慎二
音楽:野力奏一、佐橋俊彦
出演:深津絵里、内野聖陽、戸田菜穂
   宮沢和史、山崎直子、竹下宏太郎
   鶴久政治、平泉成

 夢を見失い、東京で平凡な生活を送っている速見昇。
ある日、パソコン通信の映画フォーラムに(ハル)の
ハンドルネームで参加した速見は、(ほし)というハ
ンドルネームの人物とメール交換をするようになる。
 お互いに素顔も素性も知らない関係だったが、速見
は次第に(ほし)に好感を抱くようになる。


d(>_<  )Good!!(2009/06/11)


 まだインターネットも携帯もなかった時代に、パソ
コン通信を表現手段に使った一風変わった恋愛映画。
 スクリーンいっぱいにチャットやメールの文字が映
し出されるという手法で、字幕でもなくモノローグと
もセリフとも違う「文字=言葉」が、主人公二人の気
持ちを情感を伴った不思議なリアリティで表現してゆ
く。

 一方で映画は過剰な表現を抑えて、二人の日常を終
始淡々と穏やかに綴ってゆく。深津絵里、内野聖陽を
はじめ、俳優のセリフを最小に停めて、その分ニュア
ンスや間で表現することで、前述の「文字=言葉」と
絶妙な相乗効果をもたらしている。手書きの献立表や
廻る食卓など、森田監督らしいちょっとした映画的小
ネタもユニーク。

 顔も名前も素性も知らない二人に序々に芽生えてい
く感情が、日常生活での諸々の出来事と対比する形で
次第にくっきりと形になっていく展開は、実に映画的。
 二人が初めてお互いの姿を目視するシーン(しかも
ほんの一瞬だけ)の切なさ。そして暖かい陽射しの中
で迎える小さなラストシーンにあふれる幸福感。観終
わった後の心地よさは格別。日々の生活にちょっと疲
れた休日の夜などにお薦めの一本である。
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深津絵里   森田芳光   2009鑑賞  
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