【映画批評 過去記事から】
しあわせのかおり■2008年/ビスタサイズ/124分
監督・脚本:三原光尋
撮影:芦澤明子
照明:金沢正夫
編集:宮島竜治
音楽:安川午朗
出演:中谷美紀、藤竜也、田中圭
   下元史朗、木下ほうか、山田雅人
   甲本雅裕、平泉成、渡辺いっけい
   八千草薫


 古都・金沢の港町にある小さな中国料理店。中国出身の名
料理人・王さんが丹精込めて作る料理はどれも美味しい逸品
ぞろい。ところがある日突然、王さんが病に倒れ、体の自由
が利かなくなってしまう。そんな王さんに協力を申し出たの
は、交通事故で夫を亡くし、幼い娘とともに故郷の金沢へ戻
ってきていた貴子だった。
d(>_<  )Good!!(2010/03/13 蠍座)


 職人気質の料理人と彼に弟子入りする女性の交流と人生の
再生を描く物語。それはまた、親から子へ繋いでいくバトン
リレーの物語でもあります。人生を振り返り、模索する二人
の日々が淡々と静かに描かれていて、穏やかで優しい気持ち
を呼び起こしてくれます。

 全体的にゆったりしたテンポの作品ですが、ひとつひとつ
が明確で「強さ」を感じさせるショット、中国料理ならでは
の映像的面白さ・リズムが、余計な描写を的確に排したシャ
ープな編集と相まって、ドラマを弛緩させることなく、活き
活きした世界観を構築しています。

 次々映し出される中国料理の品々は、この映画の肝ともい
うべき重要な要素ですが、そのどれもが味や香りが体感出来
そうなくらいに一皿一皿実に鮮やか。料理を食べるシーンも
どれも本当に美味しそうに撮れていて、とりわけ主演の中谷
さんは作るシーンと同じくらい食べるシーンが多いのですが
観ているこちらの食欲にダイレクトに影響するほど、官能的
な魅力に溢れています。

 中谷さんは上記シーン以外でも、画面に映るだけでショッ
トを成立させてしまうだけの力強さと魅力に溢れていて、微
妙な表情やニュアンスでセリフより雄弁に気持ちを表現する
その演技力からは目が離せません。年老いた役柄ながらハー
ドボイルドな魅力は変わらない藤竜也さん、二人を支える八
千草薫さんの圧倒的かつチャーミングな存在感もさすがです。

 とにかく全体をゆったりゆったり取り巻く、おだやかな空
気感が心地よい作品で、特に、静かに静かに流れていく余韻
たっぷりのラストシーンの素晴らしさには惚れ惚れとします。
 観れば幸せな気持ちになれること間違いなしだと思うので
未見の方にはぜひお薦めしたい作品です。
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Name:竹澤収穫



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