【映画批評 過去記事から】
カメレオン■2008/ビスタサイズ/98分  
制作:セントラルアーツ
監督:阪本順治
脚本:丸山昇一(原案『カメレオン座の男』)
撮影:笠松則通
照明:石田健司
編集:普嶋信一
音楽:安川午朗
出演:藤原竜也、水川あさみ、塩谷瞬、波岡一喜
   豊原功補、西興一朗、菅田俊、街田しおん
   萩原聖人、犬塚弘、谷啓、加藤治子、岸部一徳



 訳ありの過去を持つ伍郎は、気の合う仲間と詐欺を働き、
小金を稼ぐ毎日。未来も希望もないその場凌ぎの日々は彼に
とって平穏な生活でもあった。しかしある日、偶然要人拉致
現場に居合わせてしまったことから、彼らは謀略の渦に巻き
込まれていく。仲間たちと大事な自分の居場所を失う伍郎。
 その追撃の手が恋人にまで及んだ時、「危険な色」へと変
化した伍郎の復讐戦が始まる──

 阪本監督、丸山脚本という豪華顔合わせによる、久々に胸
が熱くなる傑作ハードボイルド活劇。

 まず、冒頭、松田優作さんが絶賛したという伝説の「カメ
レオン座の男」のシーンからスタート。丸山さんオリジナル
の脚本はアクションドラマにありがちな状況設定や人物設定
にことごとくひねりを加えた、とにかくめっぽう面白いもの
で、演出もシーンごとに緊張と緩和のメリハリがあり、ロン
グショットの巧さや、無駄がなく小気味のいいシャープな編
集、必要最小限で最大効果を生み出す的確なキャラクター描
写など映像でしっかりドラマを語っていて、映画全編を活き
活きとさせています。
 アクション・シーンはワイヤーやCGを使わない生身のア
クションが迫力と情感を感じさせ、ガンファイト・カーチェ
イス・格闘戦などを貪欲に盛り込みつつ、それぞれのシーン
に独自のリアリティが加わって従来ものとはひと味違うもの
になっています。画面を縦横無尽に動き回るその面白さには
活劇の魅力が充分堪能できること間違いなしです。

 主演の藤原さんは、表情やセリフだけでなく全身で演技す
るタイプだけに、その存在感・アクションの躍動感も素晴ら
しく、断片的に語られる伍郎の過去を、見事に体現してみせ
てくれます。
 他にも、ふてぶてしいクールな悪役っぷりをみせる豊原さ
ん、菅田さん、ワンシーンだけどガッチリ場を支える萩原さ
ん、いつもながら一癖ある役を好演する岸部さん等、脇を固
めるキャストも文句なしです。

 …最初はかなりヘヴィな作品なのかと思っていたのですが
そんな固定観念を大きく覆す内容で、久々にしっかりとハー
ドボイルドな活劇映画を観たような気がします。恋愛あり、
人情あり、アクションあり、怒濤のクライマックスから胸の
すくような痛快なラストまで、一気呵成の1時間半。血なま
ぐさいシーンもないので、女性の方にもぜひ観ていただきた
い一作です。
(天動説:映画批評)


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