【映画批評 過去記事から】
恋の門■2004/ヴィスタサイズ/114分
■制作:シネバザール
監督・脚本:松尾スズキ
原作:羽生生純
撮影:福本淳
照明:市川徳充
編集:上野聡一
音楽:葉山たけし 音楽監督:二見裕志
出演:松田龍平、酒井若菜、松尾スズキ
   小島聖、高橋征也、忌野清志郎
   尾美としのり、大竹しのぶ、平泉成


石で漫画を描くという自称「漫画芸術家」蒼木門(あおき
もん)オタク系ミニコミ界のアイドル漫画家兼コスプレーヤ
ーのOL・証恋乃(あかしこいの)、漫画バーのオーナーで謎
めいた中年男・毬藻田(まりもだ)。お互い惹かれ合いなが
らも強烈に反発もするチグハグな門と恋乃、そこに割って入
る格好の毬藻田は、漫画新人賞と恋の行方をめぐって漫画で
火花を散らすことに。締切は一週間。恋と未来を賭けた漫画
バトルが始まる!

 「面白い映画とは、2度3度繰り返し観ても飽きない映画
である」という風に良く言われますが、本作はまさにそんな
一本。「漫画」を軸に繰り広げられるハイテンションな恋愛
コメディです。

 舞台演劇や漫画のニュアンスを映画的にうまく取り込んだ
バランス感覚、破綻ギリギリまで暴走する過剰なまでの寸止
め演出。人物や状況をCG処理などで戯画化して描きつつも
細かなディテールはリアルなニュアンスで埋めていくことで
全体が見事にひとかたまりとなった、ごった煮のような面白
さ。
 その摩訶不思議な世界に一歩でも踏み込むと、途端に目が
離せなくなります。全体的に映像の緩急(映画的な説話法)
が巧みで飽きさせないし、石が転がるようにどんどん進んで
いくドラマのテンポは、まさに漫画のページをめくっていく
あの感じに似ています。
 繰り広げられる恋愛模様の愛すべき馬鹿馬鹿しさや、不意
打ちで挿入される官能的なショット、脱力しそうなギャグな
ど、全編に面白さが満載。音楽も、挿入歌、ミュージカル演
出、劇中歌とあの手この手の楽しさで、とりわけ清志郎・サ
ンボマスターの歌が名曲ぞろいで感動的です。
 一方、この過剰なまでの状況設定に対抗するキャストはと
いえば、コメディドラマにばっちりハマってみせた松田くん
絶対無敵のキュートさを発揮する酒井さん、無意味なまでの
迫力と怪しさで迫る松尾さん。各人のテンションの高さと絶
妙なアンサンブルが見事です。松田くんの全身リアクション
や、酒井さんのプチ切れ演技はとりわけ痛快な面白さで、両
氏の俳優的魅力に改めて開眼した作品でした。他にも、終始
正体不明な小島聖さんや、コスプレをキメまくる大竹さん、
平泉さんの怪演も見逃せません。
 とにもかくにも、やみくもに元気が出ちゃう痛快な一本。
元気が足りないような時には、特におススメです。

(天動説:映画批評)


↓よろしければ御投票ください。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村
関連記事
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加 はてなブックマークに追加
NEXT Entry
映画批評『グラン・トリノ』 
Entry TAG
酒井若菜  
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
Maps
PROFILE

gadget9007

Name:竹澤収穫



 邦画が中心の映画批評人。
物語そのものより、映画にお
ける「映像表現」の面白さを
重視しています。映画の採点
評価はしません。
 コメント、トラックバック
もお待ちしております。
●連絡先 →

COCO

ACCESS
最新記事一覧
『TOKYO NOIR トウキョーノワール』 Aug 13, 2017
『いぬむこいり』 Aug 12, 2017
『サタデー・ナイト・フィーバー』 Aug 02, 2017
『トンネル 闇に鎖された男』 Aug 02, 2017
『アサシン 暗・殺・者』 Jul 31, 2017
『近キョリ恋愛』 Jul 31, 2017
ペ・ドゥナ(女優)フィルモグラフィ Jul 31, 2017
『極道大戦争』 Jul 30, 2017
『ロックンローラ』 Jul 29, 2017
『心が叫びたがってるんだ。』 Jul 29, 2017
全記事表示リンク
検索フォーム
ブログ内ランキング
ブログパーツ

Page Top