【映画批評 過去記事から】
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■製作:キティ・フィルム・コーポレーション
監督・脚本:長谷川和彦
原作・脚本:レオナード・シュレイダー
撮影:鈴木達麿
編集:鈴木晄
音楽:井上堯之
出演:沢田研二、菅原文太、池上季実子
神山繁、佐藤慶
原子爆弾を作った一人の高校教師が、日本政府を脅迫する。
その最初の要求は「野球のナイターを最後まで放送せよ」だ
った…。
今観ても斬新で面白すぎるストーリー、タブーぎりぎりに
迫ったテーマやモチーフ、貪欲に詰め込んだアクション、空
前のロケーション…などなど語り出したら止まらない、日本
映画史上屈指のエンターテイメント作品。
(公開当時小学生でしたけど劇場でしっかり観たのがちょっ
とした自慢です)

なぜ原爆を作ったのかという動機は劇中一切描かれず、絶
対的な「力」を得た男がその「力」に高揚し、翻弄される様
が淡々と綴られていきますが、観る側はその心情を探りなが
ら、同時に展開される活劇要素に手に汗握るという巧妙なド
ラマ構造になっています。
普通のアパートの一室で日常生活と隣り合わせで作られる
原爆。その製造工程の画的な面白さ。それに反して戯画的な
原発でのプルトニウム奪取シーンの落差の妙は、後の原爆奪
還シーン等でも再三反復され、その人を喰ったような破天荒
な展開は、ともすれば作品全体がヘヴィになり過ぎるのを防
いで、ユーモアさえ感じさせます。
原爆完成に喜んだ主人公・城戸がガイガーカウンターをマ
イクに見立てて歌い踊るシーンは本作でも指折りの名シーン
です。
そしてクライマックスの沢田さんと文太さんの、すべてが
「ギリギリ」の空前絶後の大死闘、様々な解釈がとれる虚無
的なラストシーン。映画の魅力が全編ギッシリ詰まった奇跡
のような作品です。
(天動説:映画批評)
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