【映画批評 過去記事から】
ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃■2001年/シネスコサイズ/108分
■制作プロダクション:東宝映画
監督・脚本:金子修介
脚本:長谷川圭一、横谷昌宏
特殊技術:神谷誠
撮影:岸本正広、村川聡
編集:冨田功、冨田伸子
音楽:大谷幸
出演:新山千春、宇崎竜童、小林正寛
   南果歩、仁科貴、佐野史郎
   天本英世、渡辺裕之、津川雅彦

 消息を絶った原子力潜水艦の捜索が行われる海底で確認さ
れたゴジラが、50年ぶりに日本に上陸。一方、そのゴジラ
の首都侵攻を阻むように、民間伝説「護國聖獣傳記」に記さ
れた3体の怪獣が次々と甦る。

d(>_<  )Good!!(2002/2/10 ディノスシネマズ札幌)


 平成ガメラ3部作を成功させた金子修介監督が満を持して
登板したゴジラ作品。キングギドラ、モスラ、バラゴンなど
東宝の名怪獣を役者と捉え、大和の国を護る「護国聖獣」と
いう役柄で再設定したのが最大の特徴で、まずそのアイデア
の斬新さに唸らされる。
 主役のゴジラも、徹頭徹尾、人類に対する脅威=感情移入
を拒絶する「完全なる悪」として、禍々しく位置づけられ、
過去に例を見ない凶悪な顔(白濁した眼が秀逸)と、重量感
と質感をアップさせた造型で登場し、大いに暴れ回る。

 ゴジラとギドラがこれまでとは反転したキャラクターを演
じる趣向は、同じ1対3の怪獣対決を描く『三大怪獣地球最
大の決戦』(64)の構図を逆転したものであり、そこには
「怪獣映画の王道」を現代的に復活させる野心的かつ大胆不
敵な試みがある。
 かつての怪獣映画が根源的に内包していた「幻想性」は平
成以降の諸作よりも色濃く、初期怪獣映画のテイストは伝奇
色の強いミステリアスな物語として、現代風に巧みにアレン
ジされている。さらに、対ゴジラ組織をあえて自衛隊ではな
く「防衛軍」としたことで、空想科学映画としてのゴジラ迎
撃戦のスリル、怪獣映画の醍醐味を一段とアップさせている。

 防衛軍サイド・立花准将たちの怪獣迎撃戦のドラマと、テ
レビ局サイド・娘の立花由里たちが聖獣伝説の謎を追うドラ
マ。父と娘がそれぞれの現場の最前線に別れ、そのドラマが
一対となって展開する作劇は、常にキャラクターが積極的に
「怪獣」に関与することで、映画を二方向からの複合的な視
点として立体的に構成し、怪獣バトルのダイナミックさに劣
らないスリリングなドラマ展開で本編と特撮シーンとの乖離
を防ぐ。(ちなみに『地球最大の決戦』では、警察官の兄と
テレビ局勤務の妹がメインになっており、太古から存在する
「金星人」の予言等、全体的な物語のニュアンスも踏襲され
ている)


 多彩な出演者の中で、新山千春の溌溂としたキャラクター、
宇崎竜童の独特の生真面目さがそれぞれの役柄にすんなりマ
ッチしていて好印象。刻々変わる戦況の中で立花准将を秘か
に気遣う情報管理部・江森大佐役の南果歩も印象深い。また、
「平成ガメラ」に続いてまたも怪獣を発見してしまうツイテ
ない男・螢雪次朗、ゴジラに襲われる(衝撃的!)篠原とも
え、さらに前田愛・亜季姉妹によるオリジナル「モスラ」へ
の粋なオマージュも観逃せない。

 太平洋戦争で命を散らした人々の残留思念=怨念の集合体。
謎の老人・伊佐山は、ゴジラの正体をそう語ったが、ゴジラ
を呼び寄せているのは他の何でもない、日本人の存在=意識
そのものだ。科学や文明の急進に起因する驕りや慢心が「滅
びの力」を呼ぶ。
 『大怪獣総攻撃』は、映画ならではのエンターテイメント
が堪能できる一方、災厄を未然に防ぐ意識の欠如が今も続く
この日本に対する批判でもある。
 新世紀ゴジラシリーズ(99〜04)の中でも、ゴジラ映画
の本質を十全に備えた本作は、その完成度からみても、本来
の意味でもっとも「ファイナルウォーズ」の名に相応しい作
品だといえるのではないだろうか。
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金子修介   2002鑑賞  
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