【映画批評 過去記事から】
関の彌太ッぺ■1963/シネスコサイズ/89分
■制作プロダクション:東映京都撮影所
監督:山下耕作
原作:長谷川伸
脚本:成沢昌茂
撮影:古谷伸
照明:井上孝二
編集:宮本信太郎
音楽:木下忠司
出演:中村錦之助、木村功、十朱幸代
   上木三津子、大坂志郎、 夏川静江
   武内亨、鳳八千代、遠藤辰雄
   岡村佐代子、月形龍之介、岩崎加根子

 旅から旅への途中、助けた少女に十年前に生き別れた妹の
面影を見出し、その幸せのために体を張る旅鴉の彌太郎。義
理人情に堅く、快活な渡世人・彌太郎の旅路は、十年の歳月
を経て如何に変わったか。
 妹の死を知り、激しく泣き伏せた彌太郎は、十年後、助太
刀・人斬り稼業に身を投じ、まるで別人のように荒んだ貌に
なって戻って来る。噂でかつて助けた少女の成長を知るが、
カタギになれない現実を前に自らは名乗ることもなく、ただ
密かに彼女を見守る。

 映画『関の彌太ッぺ』は歳月の隔たりのドラマである。行
き違いとなる彌太郎と妹・お糸、沢井屋の人々と忘れ形見で
ある幼いお小夜の出会い、宿場に戻って来た彌太郎と箱田の
森介との因縁の邂逅、そして彌太郎とお小夜の念願の再会。
 しかし十年の「時のズレ」が生み出す幾多の「縁」は、絡
み合いながら、やがてラストの「行き止まり」の一本道につ
ながっていく。運命というにはきわめて過酷で、諦観と思う
にはあまりに痛ましい。 

「この娑婆には辛い事、悲しい事がたくさんある。だが忘れ
るこった。忘れて日が暮れりゃあ明日になる……」
 若い頃とその十年後、時を越えて繰り返される、この台詞
に込められた思い、その「重さ」の違いは、哀切極まる。
 花垣を挟んで場所を隔てた彌太郎とお小夜のシーンは、二
人の「生きる世界」がそれほどに違うのだ、ということをは
っきりと物語る秀逸なシーンである。
 彌太郎には、どこかに人生に対する後悔も未練もあったは
ずである。しかし己の願望に真っ正直だった森介(彼は彌太
郎にとって「自己投影」的存在だ)を斬ったその瞬間から、
もはや後戻りはできなくなったのだ。
 死地へ赴く超ロングショット。遥か彼方へ歩み去る彌太郎。
別れの挨拶のように空を切る笠。本作は、まさに侠気(ハー
ドボイルド)そのものである。
d(>_< )Good!!(天動説 2013/02/04)


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