【映画批評 過去記事から】
■2013年/ビスタサイズ/105分
■制作:東映東京撮影所、東映テレビプロダクション
監督:橋本一
脚本:櫻井武晴
撮影:笹村彰
照明:泉田聖
編集:只野信也
音楽:池頼広
出演:川原和久、田中圭、大谷亮介、山中崇史、山西惇
   六角精児、神保悟志、志水正義、久保田龍吉
   国仲涼子、深水元基、戸次重幸、関めぐみ、矢島健一
   別所哲也、田口トモロヲ、片桐竜次、小野了
   宇津井健、鈴木杏樹、木村佳乃、及川光博、水谷豊
【映画公式サイト→】

謎のデータがネット上にバラ撒かれ、数十枚の燃え残った一
万円札と共に男の死体が発見された。男は東京明和銀行本店
システム部に勤務し、ネットへの不正アクセス、機密情報漏
洩の疑いでマークされていた人物だった。殺人事件として事
件を担当する警視庁捜査一課・伊丹刑事(川原和久)と、不
正アクセス容疑を追うサイバー犯罪対策課捜査官・岩月(田
中圭)は、何かとぶつかり合いながらも捜査を進めていくが、
浮かび上がる金融封鎖計画の存在、事件の背後で蠢く政官財
の巨大な権力構造を前に、事件の真相に辿りつけず焦燥感を
募らせる…

d(>_< )Good!!(天動説 2013/05/3 ユナイテッドシネマ札幌5)

 『相棒』スピンオフ作品の第2弾。『相棒』では常に特命
係と張り合っている捜査一課の伊丹刑事が、性格も捜査概念
も正反対のサイバー犯罪課の岩月とコンビを組んで、殺人事
件の裏に隠された日本経済を巡る謀略に立ち向かう。
 超クローズアップのショット、立体的な構図とダイナミッ
クなアクションという、橋本監督ならではの演出は本作でも
遺憾なく発揮されていて、ドラマは序盤から快調に展開する。

 事件の背後にある様々な思惑と権謀術数、その中で自分の
職務を全うしようとする二人の警察官。勘と足を使った地道
な捜査を行う昔気質の伊丹と、デジタル技術を駆使して捜査
をするデジタル世代の岩月のコンビが面白く、「相棒スピリ
ット」も満載。いつもはほとんど観られない「正規」の捜査
過程が観られるのもポイントで、中でも「組対五課」の活躍
は出色の見所。角田課長&大河内監察官のコンビも、もうひ
とつの「相棒」といった雰囲気で印象に残る。

「XーDAY」の秘密に肉薄しながらも、結果的にひとつの
殺人事件を解決することしかできない伊丹と岩月。その情熱
的で「直線的」な行動の周囲で、けっして交わる事無く螺旋
状に蠢めいている政・官・財の権力者たちの無機質さ、その
二つの対比(温度差)が生み出す底知れぬ虚無感と戦慄。
 日本経済崩壊の可能性を示唆する重いテーマを掲げた本作
は、「予言・警鐘」的サスペンスに満ちたポリティカル・フ
ィクションでもあり、エンタテイメントとして、その「表面
上の事件」は解決するものの、ラストではどこか息苦しさを
伴った苦味が残る。

 刑事ドラマという枠組みの中で現代的・社会的なテーマに
挑んできた『相棒』シリーズの中でも、とりわけ時事的なス
トーリーとなった分、「謎解き」の醍醐味よりも、よりドラ
マ重視の作劇となった感があり、その意味は、あともう一本
くらいは、このコンビによる活躍が観たいと思う。

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橋本一      2013鑑賞  
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Name:竹澤収穫



 邦画が中心の映画批評人。
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