【映画批評 過去記事から】
壊音■2002年/DV/74分
監督・撮影・編集:奥秀太郎
音楽:大友良英・奥秀太郎
原作:篠原一
出演:小林愛、宮道佐和子、岡光実和子
   片山圭、中坪由起子、山ノ内奈穂子



 都内の私立中学校に通う三人、タキ、トト、ハジメは
ほんの好奇心から始めたドラッグに耽溺し、やがてそれ
は彼らの反抗期の不安定な精神状態と相まって過剰にエ
スカレートしていく。そんなある日、授業中にタキが病
院へ運ばれてしまう。トトとハジメの心の中で何かが変
化していく…。

 原作は第77回文學界新人賞を受賞した篠原一による同
名小説の映画化ということだが、本作で最も驚嘆させら
れ、また作品の特徴ともなっているのは、通常の「劇映
画」という約束事があらかじめ放棄されている、という
ことである。

 感覚に直接刺激を与えるような、ある種幻覚的なビジ
ュアルの連続、大友良英によるミニマルな「音響」音楽
のコラボレーションが、「私立中学校に通う三人の少年
たちの刹那的な行動を描く」という「物語」を、被写体
レベルに至るまでバラバラに解体する。主人公の3人の
少年を少女が演じ、ほとんどのセリフ(会話)をなくし、
ストーリーを語る「説話法」も大胆に無効化されている。

 劇映画として、破綻寸前まで分解/破壊されたドラマ
の破片をモザイクのように積み上げて作られた「何か」。
 かろうじて読み取れる物語、そこにおぼろげに表出す
る退廃的・破滅的なイメージの奔流の先に、一瞬取り戻
される「映画的」な記憶。廃校となる校舎の鮮烈な崩壊
シーン。現実と虚構の壁も壊して、「映画」は「ある世
界」が壊れ去る様子をひたすら凝視し続ける。

 どこかで何かが壊れていく。何かがどこかで壊れてい
る。しかし、すべてが壊れて消えてなくなるわけではな
い。その証拠に「映画」はここに存在している。
 溺れ続けるか、逃げ出すか、生き残るか。74分間、
「映画」は自問自答し、そして観客は挑発され続ける。

(天動説:2011/11/12)


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