【映画批評 過去記事から】
傷だらけの天使■1997/ビスタサイズ/118分
■制作:TIMES IN=KNHO
監督:阪本順治
脚本:丸山昇一
撮影:笠松則通
照明:豊見山明長
編集:深野俊英
音楽:井上尭之
出演:豊川悦司、真木蔵人、原田知世
   類家大地、菅原文太、三浦友和
   宇崎竜童、余貴美子、杉本哲太




 行き当たりばったりの生活を送る探偵コンビ・満と久。と
うとう事務所をたたむことになった二人は、最後に受けた仕
事の成り行きから、ある幼い子供を、別れて暮らす母親の元
に届けることになってしまう…。

 一世を風靡した名作テレビドラマと同名ながら、作品のニ
ュアンスだけいただいた全く別の物語。
 「都市=都会」のイメージを周到に排除、東北の地方都市
と冬の風景を舞台に、主人公二人と彼等を取り巻く人々との
束の間の交流が描かれる。旅の中での出会いと別れ、すれ違
うのも他生の縁…あらゆる場面で彼等は「すれ違い」続ける。
 道を、部屋を、乗り物を挟んで、あるいは待ちぼうけを喰
らったりしながら、心情的にも物理的にもすれ違っていく。

 丸山昇一の脚本と阪本監督の演出による、セリフと映像そ
れぞれの「余白」を活かして表現される情感。長身でスリム
な豊川悦司が、五体を曲げ伸ばししながらフレーム内を空を
切って動く時、ちょっと訳ありでくせのある女性を、原田知
世がチャーミングに演じて、背筋を伸ばして悠然と歩き去る
時、映画はとてつもなく活き活きと輝きを放つ。

 タフでもないし、優しくもなれないけど、なんとか生きて
いける程度の資格ならある…ゆるゆると流れる時間はどこま
でも切なくて愛おしく、それ故に親しみを憶える。
 ラスト、再び彼等はすれ違う。さよならを言うのは、少し
の間死ぬこと、なのだ。     (2010/12/15 天動説)


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