【映画批評 過去記事から】
三本木農業高校、馬術部■2008/ビスタサイズ/117分
■制作:東北新社クリエイツ/シネムーブ
監督:佐々部清
原案:橘内美佳
脚本:岡田茂、佐々部清
撮影:坂江正明
照明:守利賢一
編集:川瀬功
出演:長渕文音、柳葉敏郎、奥村知史、森田彩華
   西原亜希、小林裕吉、黒谷友香、松方弘樹


 三本木農業高校馬術部に所属している2年生の菊池香苗が
世話を担当している馬・タカラコスモス(通称コスモ)は、
かつて馬術競技の世界で名馬と名を馳せたが、左目を患って
引退したサラブレッド。プライドが高い上に気性が荒く、香
苗の言うことを全く聞かない。軽い気持ちで入部した香苗に
とって、コスモの世話は荷が重かったが……


 青森に実在する三本木農業高校を舞台に、盲目の馬と馬術
部員の少女の心の交流を描く物語。
 感動の実話という触込みなので、ちょっとどうなのだろう
か…と思っていたが、作為的なあざとさがほとんどない作劇
と取りこぼしの無い丹念な映像作りがとてもよく、清々しい
感動をもたらす。実在する場所を使用した1年間にわたるロ
ケーション撮影が、映画に「表情」と格別のリアリティを加
えている。

 特筆すべきは、主演の新人・長渕文音。細やかな表情がと
ても良く、素直な感情が全身から響いてくるような存在感の
ある堂々とした演技が印象的である。
 また、彼女を含むメインの新人俳優たちを支えるようにベ
テラン俳優陣勢が脇を固める中、柳葉敏郎の安定感のある演
技がドラマの演劇的な「背骨」となってシーンを引き締めて
いる。

 高校生活と四季の移り変わりを過不足なく捉え、視力の弱
ったコスモと香苗の交流を、過剰にドラマチックに盛り上げ
ず、映画全体を緩やかで大きな波のようなビートとテンポに
のせて、すべてをごく自然な流れの中に描き出している。
 ストップモーションでキリッとみせるクライマックスとラ
ストシーンの、洗練された画作りが素晴らしい。
(2010/11/4 天動説)
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