【映画批評 過去記事から】
忠治旅日記■1927年/モノクロ/スタンダードサイズ/106分
■制作プロダクション:日活(大将軍撮影所/太奏撮影所) 
監督・脚本・編集:伊藤大輔
撮影:渡会六蔵(信州血笑篇)、唐沢弘光(御用篇)
出演:大河内伝次郎、伏見直江
   岡崎晴夫、実川延一郎、中村英雄
   中村吉次、金子鉄郎、朝日奈勇二郎
   嵐岡若、大島猛、九條和子、光山朝子
   磯川元春、村上英二、沢蘭子、秋月信子
   浅尾与昇、尾上多摩蔵、市川左雁次
   尾上華丈、尾上卯多五郎、阪本清之助
   本田繁太郎、市川正之助、浅見勝太郎
   市川百之助、中村紅果、嵐璃左衛門


d(>_<  )Good!!(2015/06/13 札幌プラザ2・5)

 時代劇のみならず、日本映画史上に残る大傑作といわれる
『忠次旅日記』3部作。長らくフィルムが現存しない幻の作
品とされていたが、1991年に上映用フィルム(第1部の
『甲州殺陣篇』は逸失、第2部『信州血笑篇』の一部と第3
部『御用篇』のみ)が発見され、最新のデジタル技術により
修復・復元された。さらに2011年にはモノクロフィルムに
プリントされ、無声映画時代と同じ手法でフィルム染色した
復刻バージョンが制作される。今回上映されたのはこのバー
ジョンの35ミリフィルム版である。
 冒頭、フィルム修復・復元に関する説明が字幕によってな
され、またデジタル技術による映像のBefore/Afterの比較
が何パターンか映し出され、その鮮やかな復元ぶりに驚嘆す
る。
 そして映画本編もまた、それだけの手間ひまをかけて修復
するに値する素晴らしい出来映えであった。

 正直、ストーリーは「途中から」なので、弁士のフォロー
がなければ、即座には追いつけないものの、画面が持つ圧倒
的な表現力、もっと平たく言えば、ワンシーンワンカットが
持つ映像の力(面白さ)が次々に繰り出され、目が離せない。
 画面の構図、カットの繋ぎ方の素晴らしさは、とても昭和
初期の映画とは思えないモダンなイメージを醸し出して驚か
される。
 人情味溢れるドラマとユーモアで綴られるストーリーは、
後半、忠次が病に蝕まれて行くなかで次第に重厚かつシリア
スになっていく。クライマックスの立ち回りの迫力、さらに
それに匹敵する大河内伝次郎、伏見直江の凄まじいエネルギ
ーを内包した演技は素晴らしい。単に感情を爆発させるので
はなく、ぐっと感情を飲み込み自我をコントロールする様は
ある意味で戦慄的であり、気高く美しい。

 こうなれば、いまだ幻の第1部『甲州殺陣篇』が発掘され
るのを祈るばかりだが、現存するフィルムを観て逆算的に想
像するに、おそらくは目を見張るような大活劇になっている
のではないだろうか。監督本人は第1部にさほどのこだわり
はなかったとも伝えられるが、一映画ファンとしては、いつ
か『忠次旅日記』完全版を観たい、と思う次第である。
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