【映画批評 過去記事から】
原田芳雄アゲイン(1)■札幌シアターキノ(11/8 19:00~22:00)
●幻の短編映画『新世界』(01)上映
 DV/18分 主演:原田芳雄
●阪本順治監督トーク
●『どついたるねん』(89)上映
 脚本:阪本順治 編集:高島健一
 出演:赤井英和、相楽晴子、麿赤児
    大和武士、原田芳雄


 札幌の映画館、シアターキノでの原田芳雄さん追悼上
映(11/19~25『どついたるねん』『大鹿村騒動記』)
に先駆けての特別上映&トークに行ってきました。イベ
ントとか基本的に苦手なんですが、阪本順治監督のトー
クということもあって、わりとフットワーク軽めにチケ
ット購入した次第。

■阪本順治監督トーク(約40分)
 デビュー作以来、これまで原田さん出演の作品を計7
本(「新世界」を含めれば8本)撮ってきた阪本監督。
初めての「原田芳雄体験」となった『野良猫ロック』
の話から、実際に現場で仕事をするようになってから
のあれこれ等、公私にわたるエピソードを、シアター
キノ館主の中島氏の司会のもと、穏やかに丁寧に語っ
てくれました。
 原田さんが酒の席でつぶやく「映画の中で迷いたい」
などの名言の数々をメモりつつ、今だにその意味を理解
しきれていないものが多く、主演俳優と監督として映画
を2本3本と作るうちにそれを掴んでいけるはずだった
という発言や、阪本監督作品において初主演だった『大
鹿村騒動記』では、それまでとは違って、映画全体にわ
たる深いディスカッションが行われ、現場の原田さんが
「怖かった」と述懐するなど、原田さんに対する尊敬と
感謝の気持ちにあふれたトークでした。

 …蛇足ですが、飛行機の時間がタイトで、すぐトーク
終了後すぐに帰られてしまった監督ですが、開場前に自
分が劇場前の廊下でぼーっとポスターなど眺めていたら、
控え室に戻る途中の監督が目の前を通り過ぎていったの
です。…間近で観た監督は、長身で映画俳優並みにめっ
ちゃカッコ良かったです…!

■『新世界』上映(18分)
 大阪・新世界界隈を彷徨う「流し」の男(原田芳雄)。
ギター片手に街を歩き、酒を飲んでは難民問題をつぶや
く彼の目的とは……。新世界で暮らす人々のインタビュ
ーなどノンフィクション映像を交えながら描く、不思議
な掌編。
 群馬県で開催された「第16回国民文化祭ぐんま2001
in たかさき」で行われたシンポジウム「21世紀と映画
表現の可能性」のために、阪本監督がオリジナル脚本で
製作した、ビデオ撮影による短編映像。これまで同文化
祭と神戸市の神戸映画資料館で5日間のみ上映されただ
けという幻の作品でしたが、原田さん追悼上映企画の一
本として各地で再上映されている流れを受けて、札幌で
も上映されることに。
「アフター9.11」という時代背景を色濃く漂わせる『新
世界』は、監督ご自身は「珍品です」と謙遜されていた
けれど、ビデオならではのフットワークの軽さと映画的
なパワーがゴッタ煮されたような、ある意味で「近未来
SF」といってもいい作品。新世界の人々のリアルな独
白のモザイクを透かして通天閣から観る新世界の夕暮れ
がとてもキレイでした。


■『どついたるねん』上映(110分)

どついたるねん 阪本監督の劇場長編デビュー作。
 再起不能となったボクシングの
元チャンピオン・安達英志のカム
バックに賭ける姿を描く。
 原田さんは英志のコーチとして
雇われる元ボクサー・左島牧雄を
演じる。
 今観るとさすがにクラシカルな風合いで、画面も若々
しいが、物語が進むにつれ、赤井英和の魅力が増すと同
時に映画もいつもの阪本調の活力を漲らせていく。原田
芳雄のボクサー役は、赤井と並んでもまったく違和感が
ない。
 ボクシングにすべてを賭けるしかない不器用な男と、
罵詈雑言を浴びせつつも誰よりも彼を想う女。雷のよう
に迸る荒くれた生き方は、電撃のように画面にスパーク
して、人生の再生・恩師への親愛・身近な愛と「闘う」
男のドラマを照らし出す。彼のジムが元・電気店である、
というのは、いささか直截的過ぎるとは思いつつも象徴
的な設定に思えてならない。
 ラストのショットの切れ味、物語の締めくくり方も実
にシャープ。

■シアターキノでは毎年7月19日前後に、原田芳雄さ
んの作品を上映していきたいとのこと。次回「原田芳雄
アゲイン2」も期待したいと思います。
※今回の【公式レポート】はこちらからどうぞ→

(2011/11/8 天動説:映画批評)


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