【映画批評 過去記事から】
ダークナイト ライジング■2000年/原題:THE DARK KNIGHT RISES
 アメリカ/ビスタサイズ/165分
■制作:シンコピー・フィルムズ
    レジェンダリー・ピクチャーズ
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
脚本:ジョナサン・ノーラン
撮影:ウォーリー・フィスター
編集:リー・スミス
音楽:ハンス・ジマー
出演:クリスチャン・ベイル
   マイケル・ケイン、トム・ハーディ
   ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、
   モーガン・フリーマン、アン・ハサウェイ
   マリオン・コティヤール、ゲイリー・オールドマン

 クリストファー・ノーランによるバットマン3部作完結
編。かりそめの平和を破って、ゴッサムを混乱と破滅へ導
く強敵ベイン。その陰謀を阻止すべく、再び立ち上がった
バットマン=ブルース・ウェインの最後の戦いを描く。


d(>_<  )Good!!(2012.9.14 ユナイテッドシネマ札幌 6)


 「ゴッサム」という架空の街を突き抜けて、アメリカを
はじめとする現実の世界に「物語が侵食していく」ような、
圧倒的かつ戦慄的なイメージ。ハンス・ジマーの幻惑的な
音楽にのって、善と悪、秩序と混沌の境界がじわじわと溶
解していく。
 物語は第1作「ビギンズ」へ回帰しながら、「マスク」
というモチーフによってあぶり出されるキャラクターそれ
ぞれの正義と信念、「仮の姿」と「真の姿」のギャップが
生み出す苦悩が、バットマンやキャットウーマン、ベイン
のみならず、ブレイク、ゴードン、アルフレッドといった
「素顔」の人物にまで波及し、自身に内在する畏れや怒り
・憎しみと闘う彼らの心理を克明に描き出していく。

 映画『ダークナイトライジング』は「停止と再起動」、
動きが封じられること、動きを封じられたものが再び動き
出すこと。その相反する二つの要素の衝突と闘争のドラマ
でもある。
 翼をもがれた飛行機、満身創痍で隠遁しているブルース、
破産するウェイン産業、負傷するゴードン警部、崩れ落ち
るスタジアム。瀕死の重傷で幽閉されるバットマン…
 序盤から中盤までは「動きを封じられる」描写、動かな
い/動けないシチュエーションの連続で、物語とその世界
の閉塞感・停滞感が否応なく伝わってくる。
 そして、善悪の境界を破壊する難敵ベインの登場によっ
て都市機能が停止し、壊滅の危機に瀕するゴッサム。

 しかし、かつて正義の実現のために敢て汚名を着た「闇
の騎士」バットマンと、その真実を封印したゴードンは、
真の正義を求める若い世代のジョンと出会うことでそれぞ
れが過去の「闇」から抜け出し、己の正義を胸に再起を果
たす。停滞からの再起動。バットスーツのケープが翻り、
飛行メカの「バット」や2輪マシン「バットポッド」が縦
横無尽に動き回る時、映画自体もまた「運動」を取り戻し、
新たな鼓動を始める。

 闇の中から生まれた正義のヒーローと悪のヒーローが白
日のもとで対峙する意外性、そしてその尋常ならざる状況
が否応なく緊迫感を盛り上げる中、ゴッサムシティの存亡
をめぐる攻防戦が、バットマンチーム・警官隊・ベイン一
味による敵味方入り乱れての、「停止させるため」のアク
ションと「停止させないため」のアクションの応酬によっ
て、壮絶に展開されていく。
(惜しむらくは、その圧倒的な世界観と重厚なドラマに大
いに感嘆させられる一方で、エンタテイメント作品として
十二分に満足出来たとは言い難いことだ。悪役ベインのキ
ャラクター描写の尻すぼみ感や、「核爆弾を地上で爆発さ
せなければセーフ」と言わんばかりの「核に対する認識の
甘さ」が映画全体の熱量を急激に下げてしまうのは、甚だ
残念と言わざるを得ない)

 途切れること無く、次の世代に受け継がれる「意志」。
ひとつの伝説が終り、また新たな伝説が始まる予感。バッ
トマンの本拠地であるバットケイブが、水が淀むこと無く
流れ続ける「滝」の中に存在することが、そのことを強く
印象づける。「世界」が停止しようとする時、正義の名の
下に必ず「ヒーロー」は現れる。鋼のような強い意志は、
誰にも止められない。
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クリストファー・ノーラン   クリスチャン・ベイル   2012鑑賞  
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『ダークナイト ライジング』、収まるべきところ

前作『ダークナイト』で演じられた、光と闇の擬態を引き継ぐ形で映画は始まります。 ハーヴェイ・デントがジョーカーの策に落ち、光から闇へと反転させられた前作のラスト。 でも
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