【映画批評 過去記事から】
カラテキル■2016年/日本/DCP/シネスコ/89分
製作・配給:マメゾウピクチャーズ
脚本・監督:光武蔵人
アクション監督:田渕景也
撮影:今井俊之
編集:サム・K・ヤノ
音楽:ディーン・ハラダ
出演:ハヤテ、紗倉まな、亜紗美
   鎌田規昭、デヴィッド・サクライ
   カーク・ガイガー、カタリナ・リー・ウォーターズ
   北村昭博、仁科貴、加藤雅也

寡黙でストイックなケンジは、女優を夢見てロサンゼルスに
留学した妹マユミが音信不通になったことで不安を募らせ、
渡米する。マユミはその頃、テキサス州エルパソ郊外の辺境
にある謎の組織「キャピタル・メサイア」に捕らえられてい
た。そこには、教祖バンデンスキーが経営する超高額の会員
制違法サイトでインターネット中継される、本物の拷問や強
姦、殺人のいけにえが世界中から集められていた。「空手で
強くなって、絶対にマユミを守ってやるから」という幼い頃
の誓いを胸に、ケンジは殺人空手を炸裂させる。


d(>_<  )Good!!(2017/01/23 ディノスシネマズ札幌劇場 4番)
行方不明の妹を救うべく異国に降り立つ男。行手を阻む敵の
誰もが彼に問う。「その技は何だ」と——。例えるならブル
ース・リーの鉄拳とジャッキー・チェンの身体性のハイブリ
ット。その五体は敵を瞬時に叩き伏せ、銃弾をかわし、壁や
障害物をあっという間に乗り越え、その「手」は敵の体を容
赦なく貫き、打ち砕く。「誰も観たことのない」怒濤のアク
ションに、思わず「この映画は何だ」と歓喜瞠目させられる。

 一貫して「復讐劇」をテーマに描いてきた光武蔵人監督、
奇抜な設定で過激な描写も多いが、ワンショットワンシーン
を丁寧に積み重ねていく真摯なスタイルで、奇を衒っただけ
の粗雑な作品とは一線を画する。本作でもジャンル映画の醍
醐味を自在に取り込みつつも、古典的な設定のカラテ活劇を
奇想天外なアイデアと斬新なカメラワークで現代的に再起動
してみせる。冒頭からラストまで、緩みのないサスペンスフ
ルな作劇で、過不足のないドラマが展開。人質救出というミ
ッションに加えて、協力者の女性との刹那のロマンスを交え
てつつ、彼女の復讐を代わって晴らすという趣向で、怒りの
エネルギーが二段ブーストとなって炸裂、クライマックスを
盛り上げる。
 主演のハヤテの圧倒的なカラテ技も、超人的なパルクール
の技術も、これ見よがしに乱発するのではなく、ストーリー
の中に巧みに融合されているのがポイントで、主人公が一直
線に目的に向かって行くその姿が、映画の流れとピタリとシ
ンクロして、一気呵成にラストまで走り抜ける。まさに映画
自体が「パルクールしている」ような躍動感に充ちている。

 もしも「面白い映画とは?」と誰かに問われたら、迷わず
『カラテ・キル』の名を挙げると良いだろう。好きか嫌いか
は分かれるとしても、「映画の面白さ」の真髄が詰まってい
ることに間違いはないからである。
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